潜在保育士とはどのような状態の保育士か
保育士の中には「潜在保育士」という人がいます。
潜在保育士とは「保育士の資格を持っているけれど、現在は仕事をしていない人」を指します。
現在、保育士が働く保育園などは、労働環境が悪化しています。
保育士は女性が多いため、結婚や出産を機に退職する人がたくさんいます。
すると残った人に仕事のしわ寄せがくるため、人手不足に陥っている職場が多いのです。
保育園などはこうした場合に新たな求人を募集しますが、なかなか思うように人が集まらないのが現状です。
するとますます今働いている人への業務負担が増え、退職者がさらに増えるという悪循環になっているのです。
こうした状況を改善するために、近年は潜在保育士が注目されています。
保育士資格を持っていて保育士としての経験がある人を職場へ呼び戻すことができれば、大きな戦力になります。
ただ、潜在保育士は人によっては「あまり仕事に復帰したくない」と考えていることがあり、思うように潜在保育士を採用につなげられていない施設は多いです。
潜在保育士が復帰しない理由はなぜなのか
潜在保育士は、仕事に復帰したい気持ちがないわけではありません。
保育士としての復帰をしたくないだけであり、ほかの事務などの職に就く人は比較的多いのです。
潜在保育士が保育士として復帰したがらない大きな理由として、「収入」が挙げられます。
保育士として働く人は子供が好きで、保育士をやりがいのある仕事と考えています。
しかし収入は月収で15万円以下であることが多く、ほかの仕事に比べてとても低い水準です。
「保育士は好きだけれど、できるだけ収入が多い仕事に就きたい」と考える人は多く、保育士への復帰を考える人が少ないのです。
保育士を一度退職した人は、結婚や出産が理由であることが多いです。
つまり家計を気にしている人が多く、仕事のやりがいよりも収入面を重視して仕事を選んでいるのです。
また、人によっては「保育士が大変だから」「職場の人間関係が不安だから」のような理由で保育士に復帰しないこともあります。
人手不足の職場を経験した人は「保育士に戻りたくない」と考えることが多く、再雇用につながりにくくなっています。
さらに保育士は女性が多いため、女性中心の職場特有の人間関係に悩んだ経験をもつ人もいます。
こうした人も保育士への復帰を考えることが少なく、再雇用を妨げる原因となっています。
業界全体の労働環境改善が必要
このように潜在保育士は保育の現場から注目されているものの、復帰に上手くつながっていない現状があります。
この状況を変えるには、保育の業界全体で労働環境を改善する必要があります。
すぐには難しいかもしれませんが、業界ではひとつの大きな問題として議論が交わされています。
今後は潜在保育士がより復帰しやすい環境が実現するかもしれないため、業界の動向に注目しておくことが大切です。